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東京セブンアニメ 儲かるアニメの作り方

儲かるアニメの作り方

「出版社が利益を確保するためのアニメプロデュースの方策について」
スクウェア・エニックスのプロデューサー田口浩司氏の講演
(2009年10月JAPAN国際コンテンツフェスティバルにて)

『鋼の錬金術師』や『咲-saku-』、『黒執事』など、スクエアニックスのアニメ作品がヒットする秘訣について、掲載元では6ページに渡っている語られています。かなり長い文章だったので自分なりに要約してみました。

今の日本に足りないもの

マンガ、アニメ、ゲームの集合体で1つのタイトルとして創造するビジネス、プロデューサーがいない。

プロデューサーとは

プロデューサーは作りたいものを作れるが、儲けなければいけない。
儲け=お客様がお金を出す=バリューがある。

アニメの出版は簡単

ゲームと比べて、アニメを使った出版ビジネスというのは実はとても簡単。
この8年間で30本ぐらいアニメをやってどれ1つとして赤字がない。

なぜ簡単か

商売の基本「魚のいない所でいくら釣り糸を垂らしても魚は釣れません」

魚釣りに例えると お客様=魚

・まず魚のいるところを探す
・魚が好きそうなルアーを決める
・ルアーを食いつきやすように動かす

これをアニメ制作に置き換えると

・ウケるジャンルを探す
・作品を決める
・アニメスタジオを選ぶ

スクウェア・エニックスが得意としているジャンル

萌え咲-Saki-“』『BAMBOO BLADE(バンブーブレード)
腐女子黒執事
シュールギャグ天体戦士サンレッド
王道少年漫画鋼の錬金術師

なぜスクエニの萌えアニメが当たるか?

昔ながらのスポ根ものを美少女キャラに置き換えることで、美少女+作品の厚みが出てキャラクターたちそれぞれのドラマも作りやすい。
ウケを狙うが、バックボーンや世界観、キャラクターなどがしっかり生きていないと売れない

腐女子アニメ

これは本当に難しいジャンル。こちらに関しては本当に売れるか自分では分からない。
自分には分からない場合、ジャンルに強い編集に聞くのと、漫画の売り上げ部数といったマーケティングの数字を見てどのタイプを仕掛けるかを決める。

シュールギャグ

ビジネスとしてやるのは非常に難しい。
大量のお金が投下できないため、全国ネットで流して単行本の売り上げで費用を回収することはできないタイプ。
テレビ神奈川単局+ニコニコアニメチャンネルでやってみた。
U局で放送し、それがYouTubeやニコニコ動画にアップされることにより全国の人が見て、結果的にDVDや原作の売り上げが伸びた。
リスクを最小限に抑えた1つの新しいビジネスの形。

王道少年漫画

市場としてはやはりこれが一番大きい。
ニコニコ動画やYouTubeで仕掛けるわけにはいかない。

出版社がテレビでアニメを流すために必要なもの

制作費と広告宣伝費、それから流すための提供料。

制作費
1話当たり約1000万円~2000万円x話数
提供料
深夜帯の全国5局~7局ネット、2クール(6カ月)で出版社負担約5000万円。U局だとその半分。

例:『鋼の錬金術師』= 5億円 が出版社負担(キー局で1年間、土曜18時に放送)

テレビアニメ放映をして、出版社はどうやって利益をあげるのか

支出
提供料(制作費の出資する場合もある)
収入
DVDやマーチャンダイジング商品が売れた時の原作の印税、出資した場合は配当金、アニメ放映によって原作が売れた利益

アニメ放送とコミックの売り上げ

『咲-Saki-』の第1卷の売上

第1巻の実売はアニメ放映4週前、約500部(とても低かった)

1週前 3000部
放映開始週 4500部
2週目  1万7000部(どっと火がつく)
3週目  9000部(若干落ちたが、それからは下がらず維持)

『黒執事』の第1卷の売上

第1巻の売り上げは放映前からぐんぐんと上がっており、放送してもこれ以上売れるのか疑問だった

3週前 4000部
2週前 8000部
1週前 1万2000部
放映開始週 1万4000部
2週目 1万7000部
3週目 1万6000部
4週目 1万4000部
5週目 1万3000部
6週目 1万4000部

『黒執事』の1巻は放映前は60万部だったものが放映終了後91万部。

『鋼の錬金術師』の第1卷の売上

第1期の放映す前 15万部
アニメ放映終了 150万部(最終的に200万部)

ハガレンは儲かったか?

支出(提供料)=5億円

コミック1冊420円の出版社の利益 = 約150円
アニメによって330万部売れてトントン、そこから売れ伸びて初めて利益が出る。

原作が第5巻+放映中に3巻出=計8巻
1巻当たり平均して42万部売れ伸びると損益分岐点に達する

第1巻の売り上げ

15万部から150万部に伸び、伸びた部数が135万部
8巻分で1080万部売れ伸び、損益分岐点は割と早めにクリア。

提供料の5億円を使うことに関して社内の役員会の経営会議でかなりもめた。失敗したら首がとぶんじゃないかというぐらいにドキドキしてやった結果です。

第1期が終わった後も続刊が非常に売れていた
第2期は4月にスタートして半年

1巻当たりの売り上げ

放映前 平均190万部
現在 平均210万部(約20万部売れ伸びている)

前回と違うのは23巻まで出ている=20倍=460万部売れ伸びた。

出版社が利益を確保するためのアニメプロデュースの方策

どのジャンルのマンガで
何部ぐらい売れていて
アンケート人気はどれぐらいで
この時間帯にアニメを放映すると
保守的に見てもこれぐらい売れ伸びる
→出版社としての出資金額を決めていけば大体損はしない。

海外展開について

海外ではコミックが売れない

海外で日本のアニメ、マンガは注目されているが、コミックが売れる部数は日本の20分の1から10分の1ぐらい。

売れない理由

  • 単価が高い 8ドル99セント~12ドル99セント
  • 親が子どもにあまりお金を持たせない。
  • 住宅地周辺に書店が少ない。

売るための施策は有料配信

紙、印刷コストを抑え、どこにいても手にはいる。ただ、海外では携帯電話でゲームをしないので、PSP、iPOD、DSなどで読めるようにしたい。

ほかにも参加者からの質疑応答などもありましたが、さらに長くなるのでこのへんで。裏の事情がわかるのは面白いですね。自分の仕事にも何か活かせそうな気がします。

鋼の錬金術師

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