アニメーション界で逆転劇を起こした男たち
クリエイター水崎淳平氏×森田修平氏×永田奏氏の3人によるトークセッションに参加してきました。
「アニメーション界で逆転劇を起こした男たち〜CGとセルの今後」
水崎淳平さん
有限会社神風動画代表。
森田修平さん
YAMATO WORKS代表。
永田奏さん
YAMATO WORKS クリエイター。
作品の制作過程等より、どうやってクリエイターの仕事術とか、心得のようなお話がメインでした。
私が興味深かった点のメモです。
<水崎さんのトークより>
1998年当時、CGアニメはまだ不自然だとみられたが、「だからダメ」とするのではなく、CGの良い部分だけを使って作品を作った。
そのための工夫をした。人間の動きや表情は苦手。だから人がヘルメットをかぶり(表情を出さない)バイクに乗って(動かない)疾走するアニメーションを作った。
こうしてCGでもいい作品が作れるという前例をつくったことで、次の仕事に繋がる。
まず、自分たちで前例を作る。前例が出来れば仕事として受注が来る。
仕事をするときには何か一つ「テーマ」「ハードル」を設けてそれをクリアする。
こうして自分たちだけの「強み」を積み上げていく。
<森田さん、永田さんのトークより>
「コイセント」はシンプルなキャラクターでごまかしの効かない作品に挑戦した。
CGの技術のまえに、作画アニメとしての基本をクリアーする。
見た目をそろえるためは、自分のバランス感覚で、あえて基本を崩すこともある。
(たとえ別の角度で見ると変なカタチになってしまっても、ある角度(カメラの位置)でみると自然に見えるよう細かく調整する)
レイアウトに従って作る。
「人の顔を描いてください」といって、最初からマンガ風の絵が描けるのは日本人だけ。文化として根底にマンガがある。
(本人の語られた通りの内容ではなく、私の理解した内容なので、本人の趣旨とは違っているかもしれません)
水崎さんと森田さんは「アキラ」を半日かけて1コマづつ最後まで見るということを何度もやったそうで、そういった作品の研究の姿勢も勉強になりました。
「2Dの持つ賞味期限の長さ」というのも面白い見方でした。確かにCGは技術の進歩とともにどんどんリアルになって、その分、昔のCGがチープに見えてしまうけど、2Dのアニメというのは完成度が高ければ、古い作品でも鑑賞に耐える。
これは3Dはどれだけリアルか、という現実との比較されてしまうけど、2Dは絶対に現実とは違う、もともと非現実であることを理解してるから、賞味期限も長くなるのではないでしょうか。
今後、さらにCGの技術が高まっていくとアニメとは別のジャンル分けされるのではないでしょうか。
アニメというより、むしろ「ひょっっこりひょうたん島」や「サンダーバード」といった人形劇やクレイアニメに近いですよね。
CGのリアル感を増すほど、アニメーションと呼びにくくなるように思います。
2Dでも3Dでも、どちらも良作が生まれることを期待してます。