東映アニメーションの今までとこれから «

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東映アニメーションの今までとこれから

「アニメ・ビジネス・フォーラム+2012」にて東映アニメーションの常務取締 大山秀徳さんの講演「東映アニメーションの近未来戦略」の内容から抜粋です。

東映アニメーションの社歴は50年以上で、これまでに制作したアニメの話数はトータルで1万話以上。
代表作「ワンピース」「トリコ」「プリキュア」シリーズ「デジモンクロスウォーズ」シリーズなど

アニメーション業界の現状

邦画では1位、2位、8位、10位がアニメ映画がランクイン。アニメが重要な位置を占めている。

邦画ランキング

1位「コクリコ坂から」
2位「ポケットモンスター」
3位「ステキな金縛り」
以下「SPACE BATTLESHIP ヤマト」「GANTZ」「SP 革命篇」「相棒-劇場版2-」「名探偵コナン 沈黙の15分」「GANTZ」「ドラえもん 新のび太と鉄人兵団」

いま、週に64本のテレビアニメが制作されている。(2011年秋)
地上波が48本、衛星が2本、ローカルは関東エリアだけなどのもので14本
盛んだったころには週90本だったこともある。
アニメの生産地ということでは、日本とアメリカが二大生産地。

アニメスタジオは国内に419社あり、企画から納品まで主体的にやれる会社は約50社。
419社のうち365社が都内にあるため、アニメは東京都の地場産業。ほとんどは西武線、中央線沿線にある。これは最初に東映動画ができて、その周辺に下請や協力する会社ができたから。

アニメの売上は直近では2006年がピークでゆるやかに落下。昨年は全体で2290億円。
映画の興行収入はあまり減ってないが、DVDの売上が劇的に落ちている。アメリカやヨーロッパ、アジアに比べると緩やかな落ち方。版権ビジネス、マーチャンダイジングの数字は頑張っている。

東映アニメーションについて

売り上げ 466億円
経常利益 45億円
純利益  27億円
従業員数は550名(在外子会社を含む)、このうち200名がフィリピンで働いている。

東映アニメーション1年間の制作本数
劇場版作品を3本から5本
テレビシリーズが250本から300本ほど
ビデオやその他で数本

アニメとその他のビジネスが違う点
作品のライフサイクルが非常に長い。40年前、50年前の作品を持ってきても喜んで見てもらえる。
2011年9月末までに劇場版が206本、テレビが196タイトル、TVスペシャルなどが91本。トータルでは10813話数、5292時間分となる。
このライブラリの数は、ディズニーやワーナーにも勝っている

地域別のシェア
アジア 28%
アメリカ 30%
ヨーロッパ 42%
海外輸出全体のうち、東映アニメーションが34%を占める。2006年のピーク時には168億円ほどあったが今は92億円ぐらい。

ビジネスの大元は著作権
劇場上映権とありるが、東映グループなので東映配給作品がほとんど。
テレビ放映権というのは期間を決めてキー局中心に売っているもの
ビデオ権はそのときどきの番組の組み方で変わる。たとえばプリキュアだとマーベラスAQL、ワンピースはエイベックスといった形。

主要な取引先会社
原作のある作品が多いので、原作者や出版社も多い。
広告代理店も大事。ここを通してテレビの枠を確保する。例えばワンピースの放送枠だとアサツーディケイ、デジモンの放送枠だと電通。そのほかに読売広告社などと組んで枠を確保し作品を露出していく。
ライセンシーは我々から商品許諾を得て、商品を作ってくれる会社、たとえばバンダイ。

総合力でこれだけ力のある会社は業界には他にはない
まず一番は製作能力。多いときは週に6本の新作を作っていた。あのクオリティを作り続けてリソース、機材、ソフト、それらを統合するシステムというのは、なかなかない。今は15~6本。東映本社ではスーパー戦隊をやっているが、そのほかに相棒などのドラマ作品もあり、テレビ局といい関係を築けている。

かつてはドラゴンボール、セーラームーンがアジアで売れて、そしてアメリカへと進出た。この2本がキッカケになって、どんどん北米に上陸していくことになった。売れるようになると注目を集め、輸出商品の花形といわれているが、我々としてはずっと同じようにアニメーションを作ってきただけ。ワンピースとプリキュア、デジモンも次の海外戦略の商品になる。聖闘士星矢やDr.スランプも長く人気のある作品で、アジアや中南米で人気がある。

海外販売ではある程度の話数がないと売れない。
ドラゴンボール 508話(GTまで含む)
デジモン    310話~
ワンピース   520話~
プリキュア   376話~

ワンピースは当社で今もっとも話数の多い作品。尾田先生が「あと10年は描く」とおっしゃっているのでまだまだ続く。
プリキュアシリーズは現在8年目、10年プロジェクトで最終的には500話ぐらい。

海外販売作品はそれぞれの土地で現地語版が作られるため、全部で5万話は越えるはず。今後、インターネット配信をするときに力を発揮する。

今後、キーワードは「70億人ー少子化」
映像はそのときどきに登場したメディアに対応してきたが、今後はYoutubeやインターネットにどのように対応していくか。中国もやがて人口が減るといわれている。これまでアニメは子ども向けととらえられていたが、大人でも楽しめるようにしていかなければいけない。グローバル化も進めていく。

アニメには最初は劇場用のビジネスしかなかった。
当時、東映の大川社長が「(他は頑張っているのに)アニメ分野だけはディズニーに負けているではないか」ということで、劇場向けに長編アニメを作る会社を立ち上げた。最初に作った「白蛇伝」は、映画館の扉が閉まらないぐらいの大ヒットになった。続いてはアメリカのマネをして「テレビにもアニメがいるだろう」ということでテレビアニメを作ることになった。テレビアニメ第1本目は「狼少年ケン」。

アナログ製作からデジタル製作へ、東映のデジタル系会社
セルなどが不要になりコストの削減に繋がった。またデジタル化でいろいろな表現が生まれた。

東映デジタルセンター
50億円を投じ、映像を最初から最後まで一貫して作ることができるデジタルポストプロダクション。「プリキュア」シリーズの最近のエンディングでキャラクターがダンスしてるが、このモーションキャプチャーなどをここで行っている。

ツークン研究所
技術の研究開発を行っているところでツークン(Zukun)とはドイツ語で未来を示す(Zukunft)。

東映アニメーションのスタジオはすべて専用線で結ばれている。特徴的な点として、フィリピンのマニラには100%出資のスタジオがある。今まで空輸で送ってい資料や完成品が、ネットワークを使うことで時間もコストもかからなくなる。

デジタル化で映像や音楽をデリバリー可能に
例えば、「ワンピース」は日本でのオンエア後1時間でアメリカではネットで見られる、ニアサイマル放送を行っている。

映像コンテンツ配信市場、モバイルコンテンツ関連市場が成長しているということで投資を行っている。また、新しい試みとして「京騒戯画」というプロジェクトも進めている。(2011年12月にネットで本編配信)

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