日常芝居が一番難しい
スタジオジブリ制作秘話まとめ(4/8)
スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫のインタビューより
『ホーホケキョ となりの山田くん』のような二頭身キャラを自然に動かすことができるのはアニメーター40人いて、描けたのは2人だけ。
お父さんが新聞を読んでいるところに、「はい、お父さん」と言って座って、2人でしゃべり始めるという何でもないシーンでも、足が短いので折り曲げると目立ってしまう。それを目立たせないように、自然に見せないといけない。
歩いてくると一瞬背が伸びて、二頭身サイズだった足が長くなる。それでその足を折りたたんで、すっと座る。ただ、一連の動きを見ると、一瞬背が高くなったとか誰も気が付かない。これが「うまい」ということ。
アニメーションは、大きく言うと2つしかない。
1。みんなが知っていることを描く
2。みんなが見たことも聞いたこともないことを描く
人間が空を飛ぶというシーンはみんな実際にやったことがないので、どう描いても大概空を飛んだように見える。ところが、箸を使ってご飯を食べるシーンはみんな知っているので、空を飛ぶシーンを描くよりよっぽど難しい。
僕や宮崎駿や高畑勲が何が大事と思っているかというと、食べて、寝てということが一番大事だと思っている。生きている基本なのだが、それを今、忘れがちな時代。
だからキャラクターを作って、次に何を考えるかといったら衣食住。
着るものをどうして、どうやって手に入れているのか。
食べるものは毎日どうしていて、どこに住んでいるのか。
ジブリの作品に俳優を起用する理由もここにある。
ジブリでは衣食住を中心に描く日常芝居が多いため、芝居も大げさだと困る。
アニメの声優さんは非日常のため芝居がオーバーになりがち。